【伊藤純奈】舞台「オリエント急行殺人事件」

2019/08/17 昼公演@サンシャイン劇場

最初にキャストが発表になったときに、
「あれ、人数足りないじゃん・・・」
と思ったわけです。
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原作(またはその映像化作品群)を知っている方はご存知のとおり、12人という人数に意味が(欧米的には)あるわけで、11人でも13人でも、まして8人じゃ「オリエント急行殺人事件」は成立しないのでは?と危惧したのです、正直なところ。

12人であるが故に、ポワロの最終選択も許されるのだろうと。
それでも、その選択に苦悩するポワロの姿を描いたデビッド・スーシェ版の「オリ急」が、一番現代人の感覚に合うのではないかと思われます。
エンターテイメントとしては、シドニー・ルメット版がもっとも優れているとは思いますが、大人になって観ると、あのラストはいささか楽天的にすぎるように思われなくもありません。

しかし、そこを今回の舞台版は、七つの大罪×七つの美徳ということで、キリスト教的倫理観のうちに辛うじてとどまり、しかし、それでもなお、ポワロはその選択が正しかったのか、後年に至っても答えを見つけられないでいる、と説明させることで、ある意味デビッド・スーシェ版に近い(=現代人の感覚に近い)結末になっているという印象でした。

もちろん、舞台であまり登場人物を増やしては収集がつかない、キャラも立たないことになり、当然舞台として観られるよう必要なアレンジだったのでしょう。ポワロをおじいちゃんではなく、新進気鋭の名探偵(すでにいくつかの事件を解決し、世間にも名は知られているものの、まだ若気の至りという部分も持つ)としたのも、若造ならこういう選択をしちゃっても許されるという説得力が出てくる。

というわけで、原作とは(ちょっと)異なる犯人になっていて、それはそれで納得いくものだったので、自分としては満足な舞台でした。
各キャラも立っていたし。演者のみなさんも、それぞれに印象的で良かった。(マルシアさんは特にすごかった。良い意味で振り幅マックス!)
伊藤純奈も女優してて良かった・・・乃木坂の全国ツアーを欠席せざるを得なかったのは本人も辛かったかもしれないけれど、こういったキャリアの積み重ねが、本人にも、グループにも良い財産になるのだと思います。本作では、ある意味ひじょうに「美味しい役どころ」だったし、舞台を続けてた成果なのでは。

本作もビデオにはならないのかなー、カメラが入ったという話は聞かないし。
思いでの中にだけ残る、というのもいいけど、もったいない感じはします。

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